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「二宮翁夜話」を再読しました2017/01/13

あけましておめでとうございます。
普段は不動産に関する話題を中心のブログですが、正月は昨年同様、話題を変えて「最近読んだ本」について。
正月に「二宮翁夜話」を再読しました。ほんと、この本はいいこと書いてあります。

二宮尊徳というと「お説教的根性論」・・・という印象が強いですし、僕も読む前はそうだと思っていたんですが、実際に読むと、まったく違います。
例えば、こんな感じです。
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■根本を論ずれば、善もなく悪もない。善といって分けるから、悪というものができるのだ。善悪は人間の考えからできたもので、人道上のものだ。それゆえ、人がなければ善悪はなく、人があってのちに善悪ができるのだ。だから、人は荒地を開くのを善とし、田畑を荒らすのを悪とするが、猪や鹿のほうでは、開拓を悪とし、荒らすのを善とするだろう。(二宮翁夜話 二六話)
■いったい私が倹約を尊ぶのは、用いるところがあるからだ。住居を簡素にし、衣服を悪くし、飲食を粗末にするのは、資本を作り、国家を富有にし、万人を救済するためだ。彼が目的もなく、到達するところもなく、ただ倹約せよというのとは大いに違う。誤解してはいけない(二宮翁夜話 四六話)
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二宮さんは、かなり現代的な「相対主義者」です。「絶対的な善悪」みたいなものは、存在しないとはっきり言い切る。
善悪とか正義とかは「総て人間の都合」であって、人間にとってプラスなら善だし、マイナスなら悪だ、という考え方をする。そうして、当時の儒教的な観念論をバッサリと否定する。
で、当時の日本人にとって最も切実なものは「食糧」であったから、実り豊かな農村開発に必要なものはすべて善であり、それを実現するための方法論が「分を知り、誠実に勤め、譲り合う」という生活習慣だ・・・というそういう理屈です。
日本におけるプラグマティズムの源流だと思うし、彼の思想が明治期の商売人に強く支持されたのもよくわかります。
ちなみに、静岡県西部は日本で最も二宮尊徳の教え(報徳思想)が強く浸透した地域のようで、それがこの地域の現実主義的な、損得を重んじるビジネスライク風土をつくったんじゃないか・・・とも思っています。
さすがに、21世紀の我々が求めるものは「食糧」だけではない。「やりがい」とか「公平感」とか「納得感」とか「矜持」とか・・・そういうものをわれわれは仕事に対して求めている。
「人間の都合」を素直にまっすぐ追及する二宮さんの姿勢を見習って、これら「我々が求めてるもの」を愚直に追及する一年にします。・・・以上、新年の決意表明です。
本年もよろしくお願いします。