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vol.61 保険金詐欺に関わらない~”孤独死”を装う保険金詐欺2023/03/22 業界ニュース

2023年1月、賃貸住宅の入居者が孤独死したように装い、保険会社から部屋の清掃費用などを騙し取ったとして、
保険代理店、葬儀会社、住宅管理会社の3名が逮捕された、という事件がありました。
この事件は大きく報道されたのでご存知の方も少なくないと思われます。

実際には、路上で亡くなっていた方について、室内で死亡していたと嘘をついて、保険会社を騙し、
部屋の清掃費用などを受け取った、というものですので詐欺に該当する事案と思われます。
このような事実に反する内容を告げて、本当のことを言えば保険会社が支払わないであろう保険金を受け取る、というのは詐欺に該当します。

刑法246
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする

このような詐欺に不動産オーナーが関わってしまう、あるいは、「このくらいは大丈夫だろう」と安易に考えて、詐欺行為を行ってしまっている事例も見かけます。
一つは、経年劣化部分を保険対象の事故により損傷したと嘘をついて保険金請求する事例です。
台風被害などで賃貸アパートが損傷した場合に、もともと(経年劣化等で)壊れていた部分も台風で壊れたかのように装い、
保険で修理することにした、というようなケースが典型です。
保険適用にならない経年劣化部分を、保険適用となる台風被害と嘘をついて修理すれば、これは詐欺です。
「修理業者の方がそのくらいみんなやっているよ」と言っていた、など言い訳しても通じません。
※参考:一般社団法人日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」

もう一つは、実際に工事を行っていないのに保険金請求する事例です。
台風でアパートが破損して修理見積もりが50万円でした。
この場合に、見積りの中から修理が不要な部分を除き、実際には、30万円分だけ工事を行い、
残りの保険金は工事せずに「ふところ」に入れた、といった事案です。
2022年10月の火災保険規約改定により、保険会社によっては、建物の保険金支払い条件については、
原則「建物を事故直前の状態に復旧したこと」が必要となり、修繕が完了したときに保険金が支払われます。
ですので、実際には工事をしていないのに、工事を行ったかのように事実と異なる説明や資料を提出して保険金を受け取った場合には、詐欺に該当する可能性があります。
※参考:一般社団法人日本住宅保全協会「10月から火災保険規約改定に伴って住宅事業者が知っておくべき大切なこと」

保険金請求を巡っては様々なトラブルに発展してしまうケースもあります。日頃より信用のおける保険会社との連携が不可欠になります。

㈱船井総合研究所 ライン統括本部 上席コンサルタント 松井 哲也