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vol.65 【2023年6月1日施行】 改正消費者契約法について2023/07/20 業界ニュース

2023年6月1日、改正消費者契約法が施行されました。
今回は、不動産オーナーとして知っておきたい消費者契約法と改正の内容を確認しましょう。

◆消費者契約法とは?
簡単にいえば消費者を守る法律です。借地借家法が賃借人を守る法律であるように、消費者を守る法律が消費者契約法です。

◆なぜこのような法律があるのか?
消費者と事業者との間では、情報の質及び量、交渉力に格差があるためプロである事業者に、
素人である消費者が不当に害されてしまう可能性があるからです。

◆不動産オーナーに関係があるのか?
あります。不動産オーナーは、不動産賃貸業を営む事業者、賃貸住宅の一般の入居者は、消費者です。
よって、入居者は消費者として消費者契約法に守られます。
不動産オーナーは、消費者契約法によって守られる入居者と賃貸借契約を結んでいます。

◆実際に消費者契約法が問題となる場面は?
これは多くの場面があります。
例えば、敷引特約です。エリアによっては賃貸借契約時に保証金を差し入れて、契約終了時に保証金から一定額が差し引かれるという敷引特約がある場合があります。
このような敷引特約は高額に過ぎる場合には消費者契約法10条により無効となります。
また、原状回復については、原状回復ガイドラインがあることは皆さんご存知だと思います。
このガイドラインの中で、自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることができないという考え方があります。
この考え方も、自然損耗であるのに入居者にその原状回復費用を負担させることは
消費者契約法10条に反するとした各種の裁判例の考え方をもとにしていると考えられます。

◆では、今回の改正の内容は?
①契約の取消権を追加(第4条第3項)
・ 勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘される
・ 威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害される
・ 契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にされる

② 解約料の説明の努力義務 ・ 消費者に対し算定根拠の概要(第9条第2項)
・ 適格消費者団体に対し算定根拠(第12条の4)
解約料が適正であるか消費者は情報が不足していて判断できない。
この際、事業者に説明を求められ、事業者は、算定式・考慮事項・金額が適正である根拠などの提示が必要となる。

③ 免責の範囲が不明確な条項の無効(第8条第3項)

④ 事業者の努力義務の拡充
解除権行使に必要な情報提供、消費者の知識・経験・年齢・心身の状態など総合的に考慮した情報提供等などが挙げられる。

不動産オーナーも消費者契約法に守られた入居者に対して適切な対応が必要です。

㈱船井総合研究所ライン統括本部 上席コンサルタント 松井 哲也