アライブ通信
vol.82 賃貸マンション借主の迷惑行為による 貸主の賃貸借契約の解除2024/12/19 業界ニュース
賃貸マンションの入居者の迷惑行為に頭を悩ませているオーナーからのご相談は頻繁にありますが、
今回は、裁判でオーナーから借主への損害賠償請求が認められた裁判例をご紹介します。
【事案】
賃貸マンションの入居直後から複数人が頻繁に出入りし、深夜にも騒音を立てる迷惑行為があった。
オーナーが口頭で注意するも騒音が続いたため、契約違反の通知書を渡した。
同居人がいることが発覚したので、同居人とともに騒音に注意する同意書を取り交わした。
それでも騒音が継続したために話合いの場を設け、敷物を敷くなど部屋の使用方法の改善を求めたところ、
行動を改めるどころかオーナーに対し怒鳴り声をあげるなどエスカレートしてしまい、逆に注意を受けたこと
による影響で仕事に行けなくなったとしオーナーに転居費用や、休業補償、慰謝料等を要求した。
オーナーは、契約者に連絡しない、違反した場合には賃料6ヶ月分を支払うとする誓約書に書かされた。
騒音は、その後も継続し、本物件階下の居住者は退去したが、新たに入居者を募集することはできなかった。
このような事案です。オーナーは契約解除をして約600万円の損害賠償請求を行い、420万円が認められました。
注意をしても騒音を続けたことや、オーナーが支払義務を負わない内容について高額な請求をしたことが
要因となり認められました。契約に基づく使用料相当の損害金や、下の階を賃貸できなかった損害、
防犯カメラの設置費用や、弁護士費用の一部なども認められています。
この事案は、オーナーにとっての一種のカスタマーハラスメント案件といえるでしょうが、迷惑行為に加えて
オーナーへの理不尽な加害行為にまで及んだ場合には、毅然たる対応を行うべきという一例です。下の階に入居
させられないという逸失利益の損害や、防犯カメラ費用、弁護士費用の一部まで認めていることなどが参考になります。
㈱船井総合研究所 ライン統括本部 上席コンサルタント 松井 哲也