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アライブコーポレートサイトホームアライブ通信vol.83 不動産オーナーを悩ませる 賃借人の迷惑行為

vol.83 不動産オーナーを悩ませる 賃借人の迷惑行為2025/01/20 業界ニュース

不動産オーナーを悩ませる賃借人の迷惑行為の中で、今回はハトへの餌やりで
賃貸借契約の解除が認められた裁判例を紹介いたします。

【事例】
 入居者が、物件でハトに餌付けをした結果、多数のハトが飛来して、羽が散乱したり、
通行人が歩道上にいるハトを怖がって車道を通行するようになり、近隣の飲食店において
衛生上の支障を生じて苦情が生じました。警察からの指導もありましたが、入居者は、
ハトへの餌やりをやめなかった
というものです。(テナントの物件です。)

【裁判所の判決】
・ハトに餌を与える行為を反復継続し、実際にも本件ビルの周辺でハトによる被害が発生し、
 苦情が寄せられる
・警察署員からハトへの餌やりをやめるよう要請を受けた
・近隣の商店主や本件ビルの来訪者との間で、ハトをめぐって口論になった
・近隣に迷惑がかかり、共同生活を乱している状況を十分に認識していたにもかかわらず、
 ハトへの餌やりを反復継続などの理由により、解除を認めました。
(契約書上の、「近隣に迷惑及び共同生活を乱す行為や衛生上有害となる行為」に該当して、
 解除事由に該当すると判断されました。)

実務上、居住用物件であっても、ハトに限らず、野良猫や小鳥など動物への餌付けによる
トラブルは散見されます。

【対策】
・契約書や物件の利用細則などで餌付け行為を禁止する
・周辺住民から苦情があった場合には速やかに注意喚起する
 (なぜ餌付けを禁止しているか、どのように他の人が困るのかなど)
・苦情や被害の程度が大きい場合には契約解除も検討する
・証拠(共用部の場合には防犯カメラなど)や記録(苦情や警察沙汰になった場合にはその日時等、
 入居者から聴取した場合にはその内容)を確保する
 などが考えられます。

こちらのケースでは、裁判で契約解除が認められましたが、裁判まで対応するのは時間も手間もかかります。
裁判は最後の手段として、早めの注意喚起などで対応を進める必要があります。

                     参考文献:東京地判 令3325 ウエストロー・ジャパン
                     RETIO. NO.130 2023 年夏号 最近の裁判例から

                ㈱船井総合研究所 ライン統括本部 上席コンサルタント 松井 哲也